その女の子は、本当に女の子なのか
駆け込みもいいとこ、最終日に豊田市美術館で開催中の奈良美智(なら よしとも)さんの展覧会に行ってまいりました。 開館前に行ったにも関わらず、沢山の人がいるわけですよ。もちろん、その1人が僕なんですが。 はじめて奈良さんの存在を知ったのは、大学生の頃。当時バイトしてたヴィレヴァン京都北山店(懐かしい)で、「この人の絵、人気があるみたいよ」って、先輩に奈良さんのビジュアルブックを渡されて、「この女の子の絵がね〜、うーん、そうなんだ…」って、その時は奈良さんの絵の良さが分からなかったことを覚えています。 それから十数年。何年か前に横浜美術館で開催された個展も含め、奈良さんの作品はわりと見ましたが、その都度、「見にきてるの女性が多いなぁ、女子にはかわいい!ってウケるのかなぁ。でも、自分的にはかわいいって思わないけどなぁ…でも、奈良さんの作品ってなんかいいんだよなぁ」なんて思ってました。 今回の展示で、僕は奈良さんの初期(と思われる)作品をはじめて見ました。1番古くて1988の作品だったかな。そこにいるのは、女の子なんだけど、今の奈良さんが描く女の子とは全然違って、とても若々しいというか、戸惑いのようなものを感じました。
その後、時代を追うように展示を観ていくと、不思議と描かれた少女たちが“奈良さんの心の内”を表現してるように見ててくる、見えてくる。 葛藤とか希望とか、悲しみとか喜びとか、ね。 もちろん、こんな思いで奈良さんが製作されてるかは分かりませんが、1人の画家さんの人生の縮図みたいなものが詰まってる気がした9月の日曜日でした。